◆「県立高等学校再編計画(最終案)」および「第一期実施プログラム案」にたいする日本共産党の見解と主張
日本共産党千葉県委員会
日本共産党千葉県議会議員団

 千葉県教育委員会は7月17日、今後10年間の「県立高等学校再編計画(最終案)」と、当面5年間の「第一期実施プログラム案」を発表した。県教委はその趣旨として、「生徒が個性を最大限生かせ」「生徒や教職員が生き生きと活動し」「地域に愛される」学校づくりをかかげている。しかし計画案の実際の中身は、生徒減を理由にした大幅な統廃合・高校減らしが中心となっており、これでは千葉県教育が直面する諸問題は解決に向かうどころか、ゆがみをますます拡大せざるを得ない。統廃合の対象とされた学校では地域ぐるみの「反対」の声が日増しに高まっており、仮にこの世論を無視して県教委の当初スケジュールどおり9月県議会後、10月の教育委員会会議での「決定」が強行されるようなことになれば、重大な禍根を残すことになりかねない。そこで日本共産党として以下の見解を表明するものである。

統廃合・高校減らし中心の「再編」では、県民の願いに逆行
 高校の将来像を考える出発点は、千葉県教育がいま解決を迫られている問題は何か、県民の願いは何か、この2点に置かれなければならない。受験競争の緩和、高校で学びたいと願うすべての子どもたちが行き届いた教育条件のもとで生き生きと学べる千葉県づくり、これこそが高校再編計画の中心内容となるべきことは言うまでもない。「今後10年間で15校、当面5年間で8校減らす」という大幅な統廃合・高校減らしを大前提とした今回の計画案が、この基本とかけはなれていることを、きびしく指摘しなければならない。

高校減らしで受験競争激化、教育のゆがみはいっそう深刻に
 日本の子どもたちのすこやかな成長をむしばむ大きな要因のひとつが、教育の場におけるゆきすぎた競争の押しつけにあることは、国際的にも広く指摘されている。日本政府は1998年6月、国連児童の権利に関する委員会から「過度な競争教育を是正すべき」との異例の勧告を受けており、高校受験競争の緩和をはじめあらゆる部面における競争教育の是正は、日本の教育が当面する最緊要の課題である。
 ところが県教委はこれまで、全国でも最大規模の「大学区制」を導入して子どもたちにより広域にわたる受験競争を強い、毎年の募集定員を削減して競争倍率を維持するなど、むしろ競争をあおる政策をとってきた。「入れる高校がない」、たとえ入れても「地元でかよえる高校を」の願いに反する遠距離通学や、希望しない高校への不本意な進学、等々といった問題もここから生まれている。こうしたゆがみが、千葉県における「いじめ」「長期欠席・不登校」「中途退学」などの問題を深刻にしている大きな要因の一つであることは言うまでもない。
 計画案の全体をつらぬく大幅な統廃合・高校減らしは、こうした現状の打開をと願う県民世論に逆行し、高校への門戸を狭め、受験競争をますます激化させ、教育のゆがみをいっそう拡大するものと言わなければならない。

少人数学級への道はますます遠いものに
 ゆきとどいた教育のために一日も早い少人数学級の実施を、これは県民すべての切実な願いである。千葉県議会でも1999年2月議会で「25人程度の学級を早急に」との決議をあげている。ところが計画案では少人数学級の実現はまったく視野の外におかれている。これは議会軽視と言わざるを得ず、県民の願いにまったく反するものである。  仮に30人学級を本格実施しようとすれば、当面生徒数がもっとも少なくなる2008年度においても全県で1105学級が必要となり、現在よりさらに166学級も増やすことが必要になる。これに向けて計画的に学級数を増やしていくことこそが、いまつよく求められている。統廃合による高校つぶしはこの願いに逆行し、少人数学級への道をますます遠ざけるもので、とうてい許されるものではない。

高校減らしをやめ、行き届いた教育条件の整備に全力を
1、それぞれの高校が地域ではたす、かけがえのない役割に正当な評価を
 統廃合の対象にあげられた高校は、どれもがそれぞれの地域でかけがえのない役割をはたしている。「こんなに貴重な学習の場を奪わないで」「地域コミュニティーや生涯学習の場をなくさないで」「歴史と伝統に輝く高校を廃校にするなんてとんでもない」「地元の高校に通いたい」等々、子どもや保護者、地域住民の声は切実である。県立高校は文字通り地域の宝ともいうべき存在となっている。その役割を正しく評価し、統廃合ではなく、存続・充実の手立てをこそ講ずるべきである。  (1)県教委は高校の適正規模を一学年4〜8学級とし、それ以下の小規模校は統廃合の対象としているが、その合理的根拠を何ら示し得ていない。各学校の校長はじめ多くの教育関係者が「小規模高校でこそ、心のかよう教育、よくわかる授業ができる」と、その良さを強調していることに、耳を傾けるべきである。他県でもいわゆる過疎地域については高校の存続をはかる特別の配慮がなされており、千葉県においても大いに努力をつくすべきである。
 (2) 人口増、生徒増が明らかに見込まれる地域での廃校は、まったく道理を欠くものである。たとえば第2学区では、今後13年間で中学卒業者数が約2500人も増加することを県教委自身が推計している。こうした実情を十分に考慮した慎重な検討をおこなうべきである。
 (3) 基礎学力の充実に力をいれ、中途退学を減らすための努力で重要な役割をはたしている高校は、文字通り地域においてかけがえのない存在である。いっそうの支援・充実をはかるべきである。
 (4) 「近くに通える地元の高校をなくさないでほしい」という強い願いは尊重すべきである。千葉県は全国最大規模の大学区であることから、一部の子どもたちは、希望に反して遠くの高校に通わざるをえない状況にある。将来的には学区の縮小をはかり地元の高校に通いやすくすべきだが、当面、少なくとも、その願いに逆行する高校減らしはやめるべきである。

 
2、受験競争緩和、希望者全入制を
 いじめ、不登校、引きこもり、非行など、子どもたちをむしばむ病理現象の原因はさまざまだが、受験競争が大きな要因のひとつであることは明らかである。競争をさらに激化させる高校統廃合ではなく、受験競争を緩和し、皆がともに学び成長しあえる千葉県教育の実現のためにこそ、あらゆる努力をつくすべきである。  (1) 当面、毎年くりかえされてきた募集定員の大幅削減をストップし、定員枠を増やすべきである。そのためにも、これまで定員削減の「根拠」に使われてきた、実態にそぐわない「計画進学率」(毎年必ず一定の不合格者を生み出すよう県教委が人為的に「進学率」を設定する方式)の考え方を中止すべきである。  (2) 学びたいと願うすべての子どもたちが高校で学べる千葉県をめざし、全日本中学校長会も要望している「希望者全入制」の一日も早い実現に努力すべきである。
 
3、少人数学級の実現に今こそ本腰入れた取り組みを
 今回の高校統廃合計画の理由づけのひとつに「生徒数の減少」があげられているが、これこそ県民の願いに背を向けた逆立ちした議論と言うほかはない。生徒数減少の今こそ、念願の30人学級実現に本腰入れて取り組む絶好の好機ととらえ、その条件を最大限に活用して、早期全面実施にむけた条件整備に全力をつくすべきである。  (1) 少人数学級や少人数教育の大きな効果については、全国からも、県内でも無数の報告事例があり、県教委もその効果を否定していない。どの子にも目が行き届くきめ細かい授業、分からない子が分かるまで懇切に積み重ねられる血のかよった指導が、子どもたちの学習意欲を引き出していること、さらに生徒相互および生徒・教師の連帯感をはぐくみ、「この学校で」学ぶ喜びへとつながっていることなど、感動に満ちた報告も少なくない。こうした教育条件をすべての子どもたちに保障すべきである。  (2) 本格的な少人数学級の完全実施にいたるまでの過渡的措置として、学校の実情と必要に応じて教員の加配をはかり、実態として少人数での学級編制が可能となる手立てを別途に講ずるべきである。

 4、子どもたち、県民の願いにそった学科、学校づくりの探求を
 学科の再編成、新しいタイプの高校づくり、新しい制度の導入については、十分な説明をつくし、県民合意を得ることを大前提とすべきである。  (1) 普通科(114→97校程度)、農業科(15→10校)、水産科(3→2校)、定時制高校(17→12校)の削減は反対である。普通科については県教委自身が「普通科志向がつよい」と認めており、このような大幅削減はまったく道理がとおらない。農業高校の大幅削減や水産高校の削減は、千葉県の地元産業と日本の未来にかかわる問題であり、抜本的な再検討が必要である。定時制高校はそこで学ぶ子どもたちにとってかけがえのない学びの場であり、むしろ存続・充実させるべきである。3部定時制や独立通信制高校については、別途、あるべき姿を慎重に時間をかけて論議すべきであり、現存する定時制や全日制普通科高校の削減とセットにすべきではない。  (2) 仮称・総合技術高校(農業高校と工業高校の統合)なるものの理念や目的はまったく不明確であり、専門教育という点から見るとむしろ専門性の低下を招くのではないか、との危惧が教育関係者からつよく指摘されている。工業高校の厖大な設備の移設には多額の経費を要し、これこそ無駄遣いではないかとの疑問の声もある。理念が不明確なままの総合技術高校の発足には反対である。  (3) 総合学科など新しい学科の設置を9校にも広げることや、学年制ではない単位制の新たな導入、3部定時制高校への転換については、県民の間に「どういうものか、わからない」の声がしきりである。総合学科については、すでに2校が実施しているのだから、その効果や問題点について慎重に分析・総括して県民に明らかにすべきであり、そうした当然のプロセスを欠いたまま9校に拡大するのは、拙速のそしりをまぬかれず、賛成できない。単位制についても、県教委はこれを「魅力ある高校」のトップにかかげて16校に導入しようとしているが、利点欠点についてさまざまな議論があるところである。慎重かつ十分な県民的論議を保障すべきである。  (4) いずれの場合も、新しい高校についてはそれ自体の適否を独自に検討すべきであり、既存校の廃校とセットにしないことを大原則とすべきである。

 5、「財政事情」を高校統廃合の理由に使うべきではない
 今回の大規模統廃合計画の背景として県教委は、「生徒数の減少」をおもてむきの最大の理由にあげているが、同時に、「県財政の悪化」が重要な動機となっていることを、さまざまな機会に表明し、あるいは示唆している。未来をになう子どもたちを健やかに育む教育の仕事を、歳出減らしの「行革」の手段に使うようなことは、絶対にあってはならない。そのためにも、巨大開発の無駄遣いの中止をはじめ、県民の立場に立った真の行財政改革に今こそ正面から取り組むべきである。

拙速をさけ、県民合意にもとづく民主的手続きを
 県立高校は県民の貴重な共有財産であり、その存廃は十分な時間をかけた県民的論議にもとづくべきことは言うまでもない。また本計画案は、今後の千葉県教育の全体に長期にわたって影響するものであるから、ていねいな県からの説明と、それにもとづく慎重な県民的論議の保障、幅広い県民合意が不可欠である。以上の見地からわが党は6月県議会において、「少なくとも学区ごと9地域の会場で『説明と意見を聞く会』の開催を」と要求したところであるが、県教委はこれを拒否し、あくまでも「10月の教育委員会会議で決定する」と結論を急いでいるのは大問題である。
 大多喜女子高校の統廃合では、関係者や議会にも情報が提供されない状況での抜き打ち的な強行が大きな批判をよんだ。民主主義が何より尊重されるべき教育の分野で、このような民主主義不在の強権的な行政手法がまかり通ってよいわけがない。
 「はじめに統廃合ありき」の姿勢でなく、県民の声をあますところなくくみあげ、「開かれた県政」の名に恥じない最善の民主的手続きをつくすべきである。
 (1) 「10月の教育委員会会議で決定」を不動の前提とせず、徹底した県民論議の保障を優先すべきである。
 (2) 県教委は広く県民に対する説明の先頭に立ち、県民論議の旺盛な組織化と意見聴取に積極的に取り組むこと。当面、少なくとも県内9学区9会場と、要請のあった地域、第1期対象校について、県教委の責任で「説明と意見を聞く会」を開催すべきである。
 (3) 「計画決定や実施にあたっては、市町村長と市町村教育委員会はもちろん、子どもたちや県民の意思を尊重し、合意を前提とする」旨や、「必要に応じて、計画の再検討や見直し、変更もすすめる」旨を、計画案そのものに明記すべきである。
 (4) 県議会での十分な審議は不可欠の絶対条件であるが、9月議会だけで審議をつくすには余りに内容が膨大である。あくまでも十分な時間と条件を保障し、決して"見切り発車"することのないよう、約束すべきである。

以上
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県立高校再編
計画第3期プログラム案についての声明(06/07/21)
2006年7月21日 日本共産党千葉県議会議員団
一、県教委は、7月19日の教育委員会会議で県立高校再編計画の第3期プログラム案を示した。第3期案は、単位制高校や情報科の設置など高校教育を改変する内容を含むものであるが、その中心は4ヶ所8校を対象にした統廃合計画である。この間、県教委は第3期案の策定状況を県民に明らかにせず、先の6月県議会でのわが党の質疑にたいしても、公表時期は未定だとしていた。突然の公表は、議会軽視といわざるを得ない。日本共産党は、さらなる高校減らしをすすめる第3期案の撤回と抜本的見直しを強く要求する。

一、わが党がくりかえし厳しく指摘してきたとおり、2002年11月に決定された県立高校再編計画の1期・2期プログラムが実施されてきたこの4年間、地元の県立高校がなくなって遠距離通学を余儀なくされたり、無理な統廃合の結果、離れた二つの校舎間の往復で、満足な昼食時間もとれない等々、この間の統廃合は子どもたちに大きな負担を強いるものとなっている。高校生も含め30万筆近い反対や見直しを求める請願署名が県議会に寄せられたように、多くの県民、関係者が統廃合計画に異議や怒りを表明してきた。県教委は、これらを真摯にうけとめ、1期、2期プログラム実施がもたらした問題点を検証し、総括することこそ行うべきである。

一、当初、1期から3期までで142校ある県立高校を15校減らす計画であったが、第3期案が実施されると、計画を上回る17校が減らされることになる。県は、「生徒減少のため」などとしているが、県の資料でも5年後の中学卒業者数は、統廃合対象の第2学区(船橋・松戸・市川含む)で約1500名が増え、第3学区(我孫子含む)で約200名が増える見通しである。生徒が増えるのに高校が減らされる、県の高校再編の根拠はもはや成り立たないことは明らかである。

一、さらに重大なことは、今回の第3期案で高校統廃合が終わらないことである。第3期案の付記として、計画終了後も、「統廃合等を検討・実施したい」としており、さらなる「高校減らし」が色濃く示唆されているが、これは到底認められない。  くわえて、昨年来の千葉県行革推進委員会では「教員をもっと減らせ」「県立高校が多すぎる」などの議論がおこなわれているが、教育や県立高校を行革の対象とし、歳出減らしの手段とすることは断じて許されない。

一、高校改革というなら、教育行政の任務を教育条件の整備、確立にあるとした教育基本法第10条に則り、県立高校の統廃合ではなく、受験競争を緩和し、学びたいすべての子どもたちが通える高校を、そして30人学級の実現で楽しく豊かに学べる高校を、こそめざすべきである。                                      以上